こんにちは
生活のタネをお届けするタネ屋のマルです
今日も私見たっぷりのタネをお届けします。
今回は塩を巡る旅第三弾
場所は新潟・山形になります。
一番の目的地は「笹川流れ」がある新潟県の一番北側の村上市です。
いろいろ調べてみると村上市のお隣の山形県鶴岡市あたりまで製塩所があるようでしたのでこれは楽しめそう!と先ずは行ってみることに
実際行ってみると想像以上に楽しく、またステキな市域という印象でまた訪れたくなります。
では現地での塩を巡る旅です。
新潟までは新幹線ですぐ着いちゃいますね。
今回は村上市でレンタカーを予約できたので、特急で村上まで移動してレンタカーによる移動です。
村上市は、非常にのどかで海岸沿いのステキなエリアである反面、車がないと行ける場所が限られてしまいます。
でもこれがかえって良く、海岸線沿いにずっと山形まで道が続いているのですが、信号が殆ど無く、最高のドライブコースでもあります。
バイクのツーリストが多かったのも納得。
看板なども殆どなく、景観も非常にいいんです。
さてまず最初に村上市の歴史が残る市街へ、
塩なのになぜ?
鮭があるからです。
新潟は海の幸も素晴らし良いのですが、川に遡上する鮭も有名で、冬に寒ざらしをして乾燥させて保存する姿はTVでも時折見かけます。長野で育ったわたしは年末年始には新潟の荒巻鮭を買いに行っていました。
観光客がおおく訪れるのが建物が文化財でもある「先年鮭 きっかわ」
皇后になられた雅子様のお父様の本籍地であることから街全体が祝賀ムードでもありました。
ところで、なぜ鮭?ですが、大量の塩で漬けていることからこの地が昔から塩が非常に重要である地域であることが分かるんです。
米どころの新潟であっても塩がメインで使われてきた様子がうかがえます。
観光もしつつ夕食は山形で予約していたため、海岸を通りながらゆっくり山形方面に移動していきます。
30分ほど移動すると、1件目の製塩所
工房の中?にカフェも併設していて、道の駅のような感覚でドライブの休憩の方も結構休んでいました。
平釜製法といわれるやり方で、20年前の法改正ごに一番主流のスタイルとも言えます。
沖縄で見た製塩所は竹と風の力を使って濃縮してこの平釜で最後の仕上げでしたが、
ここでは、海水を直接濃縮していって火力で水分を飛ばし塩にしていく方法です。
工程はシンプルですが火力が24時間必要な為木材が下の写真の量が1ヶ月程でなくなってしまうっか、、、
水は村上市は山と海が接しているような場所ですので、山の水が生活圏を殆ど経由せずに海に流れ込み、大きな港もない為、船や漁業で出がちな排水はほぼ無い場所になり非常にクリアな場所です。
写真の日は曇りだったため綺麗さが伝わりづらいのが残念。
出来た塩を濾してニガリを分離して完成
話もいろいろ聞けました。(上の写真でかすかに湯気の中にシルエットが写ってる方)
火の調整や釜の温度変化にはかなり気を使い、仕上がりの見極めが味を決めているようで、これだけの労力を使って、この値段ですか?という程のものです。
この製塩所もそうですが、今回巡った場所の塩は
「花塩」「藻塩」「日常用の塩」「ニガリ」
といった商品構成になります。
二件目はそこから更に山形方面に向かうとあります。
ミネラル工房
下の写真のように海水を釜で煮詰めて塩にするという意味では同じ製法でしょう。
一軒目と少し違う点は、
濃縮液を作った後に、石灰分やニガリを抜いていく工程を段階的に分けて、直火ではなく湯煎しながらゆっくり結晶化していくというものですので、ミネラルバランスは違ったものになりそうです。
味は非常にクリアーな印象があります。
場所が新潟の最北端でインフラ整備が整わない中、丁寧にゆっくり仕上げているアツイ職人さんという感じで、時間が許せばもう少し話してみたかったところではありますね。
この日はこのまま山形の鶴岡市に入り、
先日ご紹介した「アルケッチャーノ」へ
このレストランもご紹介したように塩で有名で、
委託してオリジナルな塩を作っています。
今回購入したものは、村上市で作られたもので、満月の時に深層水が上昇してくるのですが、その海水を使っているとか
1日目はこれで終了
2日目は瀧水寺と湯殿山へ
3日目に羽黒山から新潟県村上市へ移動する道すがらまた塩工房へ
この時一番行きたかったのが、「古代塩づくりの里」
ここは、初日がたまたまお休みで、行きたい製塩のメインでした。
写真の見た目は初日の塩工房と全く同じように見えますよね。
それは当然で、先代の佐藤氏が20年前の法改正後真っ先に塩を作り始め、それが美味しいとの評判から本格的に塩づくりをし、
村上には産業が無かった事から製塩をやりたい人に作りかたを教えて広めていったようです。
左が湯煎状態で花塩をつくっている状態で、
右の写真が海藻のホンダワラを使って藻塩を作り始めたところとか
左の写真の方が現在の後継者の方
右の写真が海で採ったホンダワラを乾燥しているところ
この辺りはみんな塩の製法が同じ理由が判明しましたので、まだ道沿いにはいくつも製塩所があるのですが今回はここで時間の関係もあり塩巡りは終了にする事にしました。
この海岸沿いは戦前の塩の専売が始まるまではどこでも普通に塩を作っていたらしく、年配の方には懐かしいぐらいのもののようです。
塩が専売になってほぼNaClの薬品的な製造になってしまってから、村上の伝統の鮭(一番上の写真)の味が変わってしまって地元の人はがっかりしていたようです。
ただ、現在は販売価格を考えると塩にこだわるのは困難のようで天然塩を使うようにはなっていないようですが、、、残念ですね。
いろんな課題もありそうです。
ここのエリアの平釜で最初から最後まで仕上げるのは非常に木材を多量に必要とします。今は、間伐材や建築物の廃材を無料で引き取る事でお金をかけずに手に入れられていますが、間伐材が減ったり、バイオマスエネルギーが広がってくると、当たり前ですが木材はそちらに流れる事になります。
24時間火をかけることや労力と収入のバランスを考えると、このままこの製法のまま数十年維持するのは難しいかもしれない現状もあり心配です。
また、海水温の上昇のため海藻のホンダワラの生息がだんだん北上してしまい、目の前の海で取れなくなる可能性もあるとか、
経済や環境などこの地域だけでなく日本全体の問題なので他の地域でも似たような問題があるのかもしれませんね。
今回は色々巡ってみましたが、
他の地域での塩とは少し違った特徴があり、どの製塩所も似た特徴がありました。
味です。
非常にアッサリとしていてクリアーな味の塩ばかりでした。
巡った塩屋さんは、皆さん製法は同じでも最後の結晶ができ始めてニガリが入り込むかどうかの所で引き上げ、出来るだけニガリ成分を入れないようにしていたことが印象的でした。
沖縄などは、ニガリもできるだけ塩と一緒に結晶化させミネラル豊富な塩に仕上げ、ミネラルのバランスでマイルドに仕上げている印象がありましたが、
ここの地域の塩はそれとは違い、クリアーな味で尚且つスッと抜けて、塩っぱさに角がない味に仕上げています。藻塩も一緒でした。
例えるなら、濃口醤油と薄口醤油のような違いがあって。
村上エリアの塩は、塩味は主張せず、塩の力で素材の味を引き出す為のもの
といった感じがします。
振り返ると、山形の庄内や村上エリアは、東北の醤油をたっぷりといった味付けでなく、素材の味を引き出して味わうような料理が多く、味付けも甘みなどでコクを出しながらも比較的サッパリした味付けだった印象です。
新鮮でいい素材があるので海のものは、白身魚や甲殻類が多く、焼いたりお吸い物などでさっぱりと、山菜も湯がいて苦味を生かす食べ方でした。
塩に限らす調味料は、地域の食材の特徴・環境・生活様式などに溶け込むようになっているので、地域を知るいい手がかりにもなりそうですね。
みなさんも地方に行った際は、塩に限らず、その地域の代表的な調味料を知ることも旅の楽しみにも繋がると思います。
地域と交流しながら食文化を知ることはその地域の人を知る術にもなります。
機会があれば、そんな視点も持って旅をしてみてください。
今回のテーマ「塩巡り」はいかがでしたか?
新しいタネの発見につながっていったらうれしいです。
タネ屋のマル
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丸山 泰弘
薬剤師、健康・レストランのコンサルタント
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@taneyakumaru