エビのしっぽから オーガニックな無機物の旅【自然と生命の循環】カルシウム編
こんにちは
生活のタネをお届けするタネ屋のマルです
今日も私見たっぷりのタネをお届けします。
食べるか?食べないか?
なんてエビのしっぽを巡って考える方、いらっしゃいますよね。とくにエビフライでは。
因みに写真は先日食べたタイ料理のサラダのエビでしたので、しっぽは残しました。
このエビのしっぽ、どうやって海の中でそんな硬い鎧が作れるのか?
まあ、興味がある人は少ないかもしれませんが(笑)、このプロセスがわかると
海の神秘、海中の生き物の知恵、山(陸上)の神秘、人体や生命の神秘を垣間見ることが出来るんです。
「生命の循環」と題しましたが、オーガニック(有機的)でダイナミックな自然界の営みは、無機物(ミネラル)が循環する事で出来ているということなんです。
実は、薬剤師がその自然環境全般が舞台で、最近は医療の専門家として求められるのですが、実はこの自然環境と生命の維持に関わるのが私達の仕事でほかの医療関係の仕事とチョット違う側面でもあります。
私の余談はさておき、
無機物の循環といっても、皆さんが中学に教科書にあった元素周期表にある一つ一つ見るのは難しいので、今回はエビのしっぽに一番関係する、そして私達にも馴染み深い「カルシウム(Ca)」が巡る旅というテーマにしてみたいと思います。
日本大百科全書より引用
無機物(カルシウム)が生命や自然界でどのように私達の目に触れて循環しているか?
でも、そもそもエビのしっぽはカルシウム?
ってところからですよね。
カルシウム他塩類、キチン類、タンパク質が主たる要素になります。
今回の主役のカルシウムは炭酸カルシウム(CaCO3/石灰)という状態で存在しています。
カルシウムのイオンが炭酸(二酸化炭素)と一緒になったり離れたりする事で、液体に溶けていたり硬い物資になったりと、パートナーを入れ替える事でそこに定住したり旅したりを繰り返しているんですよね。
海水には当たり前ですが水(H2O)が殆どで96.6%になります。
他の3.4%が塩分で、この塩分の中にいろんなものが溶け混んできています。
あれ?炭酸カルシウムでは?
これは塩としてそのまま結晶にするとなると言われている比率なので、実際は海水中ではイオンで存在します。(因みに硫酸イオンは炭素と似た性質の硫黄が炭素同様有機物を構成する要素である為、自然界で循環しています。)
ウィキペディアより
カルシウムのパートナーになる炭酸は、主に空気中の二酸化炭素が海水に溶け込んで炭酸イオンになって存在しています。
ウィキペディアより
さてエビのしっぽと殻ですが、材料は海水中にある炭酸イオンとカルシウムイオンです。エビの体内で炭酸カルシウムに反応させるんですね。エビは脱皮を繰り返して成長しますのでその都度作り直しているんです。
何故海水の中で硬い殻が作れるんだろう?と思えば非常にシンプルな原理です。
海水から同じような原理で自らを硬い殻で覆って守っているのが
エビ以外の甲殻類もそうですね
貝類の貝殻、サンゴ
面白いのは真珠の白さは炭酸カルシウムも取り込んでいます。バイオミネラリゼーションというのですが、人間も含めて歯や骨がこの仕組みで形成されています。
同じカルシウムだけどパートナーがちょっと違うものに魚の鱗があります。これも硬いですよね。
魚の鱗のパートナーは炭酸ではなく燐酸(りんさん/PO)で、ハイドロキシアパタイトという名称をご存知では?
化学式ではいろんな状態があるため省略しますが、「鱗」と「燐」の字が気になりますねー。これは次回に燐を巡っての旅を考えていますので次回をお楽しみに、、、
では、生命は循環するという視点で旅を進めていくと、
エビは脱皮を繰り返します。
貝も死ねば貝殻だけ残ります。
サンゴも生命の循環で死んでしまいます。
魚ももちろん死ぬものも多いです。
これらはミネラルの塊で海水の中では重たいので海底に落ちますね。
海底にはカルシウムの結晶が沈殿していき堆積していきます。
豊かな海ほど白いカルシウムが海底に貯まります。
これが長い時間をかけて石灰になります。
ここで時間も移動して太古の海が隆起して出来た有名な山がありますね。
ヒマラヤです。
ヒマラヤは古代の海が隆起して出来たのはご存知でしょうか?
ヒマラヤの岩塩は有名ですよね。あれは古代の海がそのまま隆起して閉じ込められた海水が結晶化したものになります。長い時間空気に触れなかったことから神聖な印象で扱われることが多い印象です。
同じようにヒマラヤは石灰岩の山なんです。
炭酸カルシウムが50%以上入っている岩のことです。
日本にも同じような山はいくつかあるようです。
石灰岩の中には
この石灰岩は水に溶けやすいんですね。
地上に現れた石灰岩は、更に長い年月をかけて少しずつ溶けていくんです。
この時はまたパートナーと離れたりくっついたりして
それが地下に溶け出して出来るのが鍾乳洞です。
鍾乳石はやはり炭酸カルシウムなんですね。
鍾乳洞以外にも、長い年月の風雨で溶けていく石灰岩がある地域は世界遺産のような特殊な地形を作り上げたりしていきます。これらは、その地域の気象とも連動してきますので、
旅するときには、大きな時間の流れによる炭酸カルシウムの変化とそれを仲介するその地域ならではの地形や気象を観察すると非常に面白いですね。(私だけかも笑)
日本では神社によくありますが、「君が代」に歌われているさざれ石も長い時間をかけて石の隙間に炭酸カルシウムが結晶化して大きな塊となっていますね。その時間について歌われてます。
今度神社で見かけたらそんな視点も面白いかもしれません。
大理石や方解石も炭酸カルシウムです。
この石灰は特にある年齢以上の方には懐かしい、
チョークやグランドの白線などの材料になってますね。
では、少し生き物に視点を動かしいていくと、地上の貝とも言えるカタツムリの殻や表皮(コンキリオン)もやはり炭酸カルシウムで出来ていて、石灰質の場所には生息数が多いとも言われています。
鳥類や爬虫類に目を向けると、卵ですね。
卵の殻はまさに炭酸カルシウムで出来ています。徐々に大きくなっていくのはどうして?と疑問にはなりますが。
因みに爬虫類の鱗に見える皮膚はケラチンなどの角質でタンパク質がメインで、ミネラルで言えば、髪の毛同様システインのS(硫黄)が無機質として独特な弾力性を生み出しています。
今度は、外の環境の旅から自分の内側の環境に視点を向けてみましょう。
先程も登場しましたが、歯・骨は勿論カルシウムなのはご存知のとおりですね。
神経の情報伝達はカルシウムイオン、筋肉の収縮、酵素反応、免疫反応、そして一番要になる血液の濃度調整と多岐にわたります。
物資的には歯や骨が重要なのですが、優先は血液内のカルシウムの濃度を一定に保つことが生命維持に欠かせませんので優先されます。
足りなければ骨の代謝が分解側に偏ります。さらに神経伝達など多様な機能が偏る事になります。
これらの反応にビタミンDが深く関わる為近年注目されてます。リンやマグネシウムとのバランスも非常に重要になってきます。
それでは、私たちは何処からカルシウムを摂取しているのでしょう?
以前だったら牛乳からとみんな言っていたでしょうが、今では牛乳を飲まなくても野菜でもしっかりとれたり、いろんな食材から摂取出来るのがわかってますね。それは、上記で変えてきたように生命の循環の中に海も山も畑も生物にも炭酸カルシウムがあります。
原因の一つの要因は、加工食品が多くなったり、柔らかく甘い野菜しか売れなくなったりなど背景に関わる部分が少なからず影響しているような気もします。
その食材の源は土であり海であります。
土や山の炭酸カルシウムは雨など気象などから徐々に溶け出し一人旅の様にまた海に帰っていきますね。
なかなかうまくは表現は出来ませんでしたがカルシウムは生命にも地球にも多きな循環を生み出し、無機質が循環することが逆にオーガニックな生命を支えているとも言えます。
細かいことはさておいても、私たちの命と海の中のカルシウムや山の鍾乳石が長い年月の中で循環しているのが感じられたでしょうか?
旅に出かけた時もそうですが、身近なものを通して時空の旅を楽しむのは時には面白いものです。
良かったらお試しを。
次回はカラダの中の旅から外側に燐(P)を通してまた違った角度から俯瞰してみたいと思います。
今回のテーマ「カルシウム」はいかがでしたか?
新しいタネの発見につながっていったらうれしいです。
タネ屋のマル
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丸山 泰弘
薬剤師、健康・レストランのコンサルタント
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