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カラダハック 「アメリカ スポーツ医学の疲労回復テクニック」《疲労シリーズNo.2》

こんにちは
生活のタネをお届けするタネ屋のマルです

今日も私見たっぷりのタネをお届けします。

 

スポーツという視点からの「疲労」

 

疲労からの症状が多い時期ですのいでわかるようでわからない「疲れ」をテーマにしばらく本からの情報や、各ジャンルの「疲れ」の認識などを紹介して生きたいと思っています。

 

今日は第1弾で、最近書店で平積みになっている本で、アメリカのスポーツ医学から得られた「疲れ」の正体と回復に科学的なデータをもとに導き出された方法を紹介しているこの本を紹介・・・というより備忘録として書いて生きます。

 

スタンフォード式 疲れない体

スタンフォード式 疲れない体

 

 

 

近年はメディテーションが一般の方々に広まってきた事で、「メンタルを基点としたメンテナンス」が情報としては先行してきた中で、この書籍は「肉体(フィジカル)を基点にしながら体の構造から脳神経へアクセス」する視点を提供してもらえるという意味で、近年の話題の本を読んで来た方には体内の動的平衡を体感として得て、カラダ全体で捉えていくプロセスに示唆を与えてくれるものだと思われます。

 

また、古い情報と新しい情報が混雑する昨今で、勘違いとも言えるような古い神話的情報を整理してくれます。

情報のデトックスと更新としてもいいのかもしれませんね。

 

スタンフォード大学

2012年ロンドンオリンピックでは「アメリカが獲得した五輪の金メダル」のうちの22%がスタンフォード大学の学生であり、

2017までの全米大学スポーツランキングが「23年連続全米総合1位」という実績を生み出した背景にある「絶対回復マニュアル」

著者はそのなかで「総合的回復力」を担った16年の経験とデータから導き出されたものです。

 

このようにスポーツで世界の第一線であり、説明もスポーツ選手の実例が示されていますが、これはスポーツをする方ではなく一般の方向けに書いてあり、

第一線で活躍する選手の実例が、私たちが日頃何となく感じる程度のサインを見える化してくれるグラブがわりだと思って日常に取り入れるためのヒントだとすると読みやすい本です。

 

 

では、本題に入ってまいります。

 

 

本書は「疲れ」について書かれたものです。

 

ポイントは

「疲れの予防」と「疲れの回復」になります。

また全てスタンフォード大学科学的な検証されたものだけであり

「疲れの正体を科学的に知ることによって実践しようという意図」をもって書かれています。

 

 

まず本書は、疲れの種類

  • 脳神経由来の疲れ
  • 筋肉の疲れ
  • 内臓の疲れ

と分類して、

呼吸法、運動法、回復法、入浴法、睡眠法、食事法など日常の様々なシーンへ取り込めるように具体例が沢山掲載されています。

 

その具体例は日常メディアなどでもよく目にする情報を使って、具体的な「時間」や「量」「ペース」を始め数値化された方法が提案されています。

 

この疲れの中で、着目されているのが

  • 中枢神経と自律神経のメンテナンス
  • 体(主に姿勢)の歪み

この2点で、この着目点から「疲れの3種類」に対して様々なアプローチをして解説しています。

 

特に本書の一番の柱であり、世の中で紹介されてないものが一番最初に出てきます。

IAP」という体内の圧力に注目した理論です。

 

脳神経の疲れを取る事と歪みを整える事がこの「IAP」で出来るとして着目点にアプローチしています。

 

具体的には、この「脳疲労」を防ぐために着目しているのが「体の歪み」で、脳の指令をスムーズに伝達できるか?という視点です。

「疲れやすい体」=「歪んだ姿勢の体」

          →中枢神経を乱すトリガーになりうる

 

紹介されている「IAP呼吸法」は、

「体内の圧力」によって歪みの補正をすることで、神経の伝達をスムーズにして、肉体と脳神経の疲れにアプローチしていきます。

 

 ここで

IAP呼吸法とは

  • 体の中の圧力を高くして体の中心(体幹と脊柱)を安定させること
  • この方法が「疲れない体」を作る答えが詰まっている理論(本書の柱)
  • ポイントは「横隔膜」と「体内の圧力」
  • 万能ではないが、メンテナンスと併用すろことで効果が増大する
  • 「IAP」とはIntra Abdominal Pressureの略で日本語にすると「腹腔内圧(腹圧)」
  • 「腹圧呼吸」とも呼んでいる
  • お腹を膨らませると疲れにくい
  • 腹式呼吸」とは違う
  • お腹を膨らませたまま「固く」して呼吸するというもの
  • 動かすのは「肺の下の筋肉(横隔膜)」
  • そのことによって体の中心がキープされ中枢神経の伝達がうまくいく
  • 体幹がしっかり安定して神経伝達やフィードバックがスムーズにいくことで体がバランスとれる
  • 結果疲れにくくなる

 

 これによって肉体的なアプローチと神経的なアプローチが並行して行われるので非常に有効的な手法ということです。

 

また、「内臓疲労」には主に食事からのアプローチが詳細に説明されています。

ここでも、「時間」や「量」など具体的に解説されてます。

 

他にも日常で役に立つテクニックや知識が後半に満載です。

 

疲労マネジメント」というスキルを日常に活かしていきたいという方には最初に読むのにはオススメの本ともいえそうですね。

 

テクニックに興味がある方は本書を手にとってみてください。

テクニックだけに限らず、自分の疲れの正体は何だろうと気になる方にも自己観察に繋がる知識が豊富に散りばめられています。

 

 

日本人を始め東洋の文化は全体的で、感覚的で相対的な捉え方がベースになってしまいますので(もれなく私も非常にその傾向が強いです)、このようなテクニックを伝えようとするときに、ヨガなどの伝統技法のように一子相伝のようなプロセスを選びがちでロジカルに説明が出来ないものが多い中。

日本人の我々がもともと持っている身体感覚から容易にアクセスできる解説で理論として説明してあるので誰でも容易に日常に取り込めるのかもしれませんね。

 

 

 

日本にもあった技術

 

この本を読んでいるときに、

そういえば日本にも似たような様式があったことを思い出しました。

全く同じではありませんが、能や武道などで使われている丹田です。

これもいろいろあるようですが、安田氏の本によると肺下にある呼吸横隔膜と骨盤にある骨盤横隔膜を上下する呼吸法が日本文化の中にもあるので、比較的日本人には馴染みやすい呼吸法なのかもしれませんね。

武道や伝統芸能に触れた経験がある方は「腹(ハラ)」に気をためるといったような表現を使って、腹や腰を一番大事にしてきたともいえます。

この点では、日本人には骨盤横隔膜への意識の方が高いかもしれません。

和の文化の中にこの呼吸法を取り入れてみたいとお考えの方はこの書籍も合わせて読んでみると、日本人が得意とする身体感覚を上手く使えるようになるかもしれません。

また、ヨガをされている方は、いろんな呼吸法で横隔膜を使う事に慣れていると思うので試しやすい方法かもしれません。 

能に学ぶ「和」の呼吸法

能に学ぶ「和」の呼吸法

 

  著者である安田氏の寺子屋を数年前何度か受けさせてもらいましたが、「能楽師」「神主」「ロルフィング」「甲骨文字学者」を始め多様な活動を身体感覚という柱の中で結び付けているユニークな方で大変勉強になったのを思い出しました。

この著書も幅広い経験の中から書かれているので、読み物としても非常に面白いですよ。

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疲労の分類や捉え方が少し明確になりそうです。

 


今回のカラダハックはいかがでしたか?
新しいタネの発見につながっていったらうれしいです。


タネ屋のマル

 

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丸山  泰弘

薬剤師、健康・レストランのコンサルタント

 

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