薬剤師が語る 生活のタネ

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寒露・カンロ【コトノハ・ノ・モリ】

1こんにちは

生活のタネをお届けするタネ屋のマルです

今日も私見たっぷりのタネをお届けします。

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昨日10月8日は、二十四節気で「寒露(カンロ)」に入る日になります。

次の「霜降」までの16日間になります。

 

『暦便覧』では、

「陰寒の気に合つて露結び凝らんとすれば也」

 
冷気によって凍りそうになるころ。

自然にめを向けると、雁などの冬鳥が渡ってきて、菊が咲き始め、蟋蟀(こおろぎ)などが鳴き始めるころ。と言われてきた時期です。

 

天文学的には、太陽黄経195度の時です。

 

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とは言え「カンロ」という音を聞いた時に二十四節気を思い浮かべる人は少ないでしょう。

 ということで、今回は「カンロ」というから関連する言葉のアレコレを書き連ねてみたいと思います。

 

先ずは最初にご紹介した続き「寒露」から。

最初の紹介の通り、露が冷気で固まり氷になりそうな状態で、固体になる一歩点前の状態を表現してます。

 

 この現象の特徴を掴むのに「」という字の背景から見ていくことで、今回の「カンロ」という音の持つ共通性が見えてくると思います。

 

新漢語林より字義は

つゆ。水蒸気が冷たい物体の表面で水滴となったもの。「夜露」「露草」

あらわす。あらわにする。さらす。また、あらわれる。もれる「暴露」「発露」

うるおす。(ア)しめらす。ぬらす。(イ)めぐむ。恩恵をほどこす。

④つかれる。つかれてやせて骨ばかりになる。

⑤やぶれる(敗)

⑥はかないことのたとえ。また、ささいなことのたとえ。「朝露」「露命」

 

「露」には「」と同じように「アラワレル」という意味合いがあり、特に「露」は隠されていたものがアラワレル様子を意味します。

「ツユ(露)」の場合は大気中(内部に隠れてる)に含まれていた水が露顕外に見える)して、徐々にまとまり水滴になり氷となっていくのが感じられますね。

 

これを二十四節気で少し前の

処暑」の頃(9月7日〜)から眺めてみると少し面白いかもしれません。

処暑は、

「陽気とどまりて、初めて退きやまむとすれば也」と、暑さが峠を越えて後退し始めるころを表している。

白露は、

「陰気やうやく重りて、露にごりて白色となれば也」と、大気が冷えてきて、露ができ始めるころを表している。

秋分は、

昼夜が等分になり陽気と陰気が半々になり、季節感では、初候:雷が鳴り響かなくなる、次候:虫が土中に掘った穴をふさぐ、末候:田畑の水を干し始めるというとき

寒露は、

「陰寒の気に合つて露結び凝らんとすれば也」と、露が冷気によって凍りそうになるころを表している。

霜降は、

「露が陰気に結ばれて霜となりて降るゆゑ也」と、露が冷気によって霜となって降り始めるころを表している。(楓や蔦が紅葉し始めるころ。この日から立冬までの間に吹く寒い北風を木枯らしと呼ぶ)

 

陽気が減り始め気温が下がり始めると空間(空間の水蒸気)から白いモヤへ、そして露(水滴)へまとまり見えるようになります。

秋分が過ぎて、陰気が勝ると、更に冷え、霜(氷)へと変わってくる様が見えてきます。

 

少し科学的にいえば、

気体→液体→個体へと統合していく。温→冷

という感じです。

 

「露」が意味する「寒露」の時は正しく彼岸と水鏡の世界観とも相対して趣が増します。

 

これを春の彼岸まで眺めてみると、

立春過ぎから塊が融解して放たれまた隠れていく様子は、二十四節気や更に細分化した七十二候の中に相対的に見えてきます。

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さて、寒露の侯は、朝晩の気温差が増し、紅葉が綺麗に現れます。

そうすると、紅葉拾いに神社仏閣へ出向く人が多くなるのではないでしょうか?

 

実はそこにも「カンロ」があります。

 

それはお寺にあります。

薬師如来の左手に。


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新薬師寺 公式ホームページより

 

写真の左手に持つ壺は「薬壺(ヤッコ)

万能に効く薬が入っているとか。

 

この薬壺に入っている薬というのが「甘露(カンロ)」とも言われています。

 

甘露とは

中国古来の伝説で、王者が仁政を行えば、天がその祥瑞(ショウズイ)として降らすという甘味の液と言われて、

更に古くは、インドではアムリタ(不老不死)と呼ばれ、ヴェーダではソーマの汁(ソーマ酒・蘇摩・覚醒酒)を指すようです。

インドも中国も共通の、須弥山の頂上にある三十三天の不死の霊薬で神の食物ともされてます。

 

薬師如来はこの薬壺で人々の苦しみを救うといわれています。

 

因みに我が家の薬壺

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確かに救われてます。

 

この甘露からインスピレーションを受けた命名

カンロ飴

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カンロ飴 ブランドサイト | カンロ株式会社

「糖を基盤とした事業を通じて人々の健やかな生活に貢献する」をコンセプトに展開しですね。

 

また、この時期は秋の味覚が沢山収穫されますね。

それを来年までの保存食として加工する方法が

甘露煮

 

 

どうですか?

台風で紅葉や収穫物が心配ではありますが、

食べ物だけでなく、自然の変化や空気の質の変化、

そして、私達の内面の変化が表面にアラワレル時期になります。

良かったら「カンロ」という言葉(コトノハ)も紅葉と共に楽しんでみませんか?

 


今回のテーマ「カンロ」はいかがでしたか?

新しいタネの発見につながっていったらうれしいです。


タネ屋のマル

 

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筆者:丸山  泰弘

薬剤師、カラダ・キュレーター

健康・レストランのコンサルタント

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