薬剤師が語る 生活のタネ

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カビは友となれるか?② 都合の悪い性質

こんにちは
生活のタネをお届けするタネ屋のマルです

今日も私見たっぷりのタネをお届けします。


カビは友となれるか?②  都合の悪いカビの性質

 

前回はカビの種類や多様な側面を①で見てきました。

カビは友となれるか?① 身近なカビを知る - 薬剤師が語る 生活のタネ

その中で私達にとって都合の悪い側面を今回見て行きたいと思います。

 

先ずは最近話題に上がりやすくなってきている

カビ毒

これは重要な項目なんですが、

見えない

ので非常に厄介な存在ですね。

特に体内に入る事になる食品が問題です。

総称としてマイコトキシンと呼んだりもします。種類もカビの種類によって微妙に違い多く存在します。

このカビ毒が一般の方々が認識し始めたキッカケはこの本の影響が大きいと思われます。

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本の中ではコーヒーなどが取り上げられています。

 

このカビ毒は自分の目の前でカビを見れていれば気をつける事は可能ですが、加工処理されてしまうと認識はほぼ不可能になります。

実は大抵のカビは熱処理で殆ど死滅してしまいますが、マイコトキシンは化学物質で熱に強く普通の熱処理では殆ど残ってしまいます。食品加工の段階でも意図的に排除しない限り排出は困難です。

 

何が怖いのか?

通常カビは自分自身のサイズも大きい事から表面で増殖していきますので、加熱で死滅させる、又はその部分を綺麗にすれば一旦カビは無くなります。

しかし、カビ毒はカビが発生させた化学物質で、それが細胞内や食べのの内部に浸透します。カビ毒の化学構造を見ると大抵は油に溶けやすい構造をしていますので内部に侵入して蓄積する傾向は考えられまし。

これが体内に入ると、基本的には肝臓や腎臓が処理する役割になるのですが、なかなか処理しきれない傾向にあるようで厄介なのは性質通り脂肪に蓄積しやすい傾向があります。そういう意味では添加物や農薬とも似ていている部分もあります。

大量に入るというより気づかないうちに体内に少しずつ蓄積していくということが多いです。

物質によって害の出方などはちがうみたいです。

慢性疲労や原因不明の体調不良にも少し関係していると訴えている方もいるようです。

これを抜くには、デトックスが必要になりますが、やはり脂溶性が強いものは時間をかけて徐々にに抜いて行かなくてはなりません。

最近では体内にあるカビ毒を検査するところもあるようですね。ただ一般の治療ではありませんので保険などは一切使えないはずです。

検査してデトックスをどうするか考えるのも重要な事ですが、

まずはカビ毒が体内に入る事が極力少ないのが重要になりますね。

 

本で出てくる知らず知らずのうちに体内に入れているものの代表としてコーヒーやナッツやフルーツや穀物農作物であり天然の素材です。

何の対処も無しに保存されたらカビ等で腐敗するのは自然の摂理です。

空気中にカビがいたとしても、私達が呼吸していても健康体であれば何も影響がないのと同じで、収穫された生産物がただ放置されるのではなく生命力が担保される又は自然界の影響を受けない環境下で保存しなくてはいけません。食物が船で日本に入ってくる場合保存剤などの処置は最低限必要になりますね。

私もコーヒーを焙煎する場合はカビの可能性があるものは勿論味にも影響しますが、その豆を取り除くよう細心の注意をはらいます。なので、全ては無理でも焙煎の前に丁寧に分別しているお店から自分が飲むコーヒーは購入しています。

 

当たり前ですが食品を扱う業者は、カビが大量についているものを表面を払っただけで使うことはまずありませんね。

良し悪しはともかくコンビニのお弁当やサンドイッチはこれを避けるために防腐剤がキッチリ添加され加工食品が保存の状態でカビが増えることはまずありません。

 

しかし、食品添加物が気になる方も多いはず。

 

最近はオーガニックであったり自然派のようなコンセプトであったりと気になる方は多いと思います。私自身もこのジャンルにはいろいろ関わってきました。

オーガニックなどは大抵は品質は非常にいいものが多いのですが、流通や保存方法がどうか?または一度に大量に買って少しずつ使っているうちにカビが(良い意味で)生えやすくなる状況もあります。

これらの食品はお店で販売しているものは通常問題ありませんが、長期保存をせずその日に食べる食品を買う事がリスクを最小限に抑えられます。せっかくの良い素材です、旬の風味がそのまま残っている新鮮な状態で頂くのがカラダも喜ぶ事になります。

 

また、発酵ブームで発酵してあるものは全て健康にいいと思い込んでしまっている方も多いように見受けられます。

発酵食品は、プロが作る分には菌を選んで使っていますので問題は無いはずですが、個人の実験的な発酵は菌の種類が不確かなため安易に発酵がいいと考えてしまうのは危険ではないか?と感じる事があります。

こちらも保存方法によっては他ねカビの付着が起きやすいので早めに食べる事が重要ですね。

 

 

ちょっと怖くなるような事を書いてしまいましたが、

慌てて過敏に反応する必要はありませんよ。

先ずは知る事からで大丈夫なものですので一旦しばらく生活を変えるのではなくきになる場合は先ずしっかりした認識を持つことが先決です。

意外に下記のサイトは簡潔に書かれています。

文部科学省HP:カビ対策マニュアル 基礎編−文部科学省

農林水産省HP:かびとかび毒についての基礎的な情報:農林水産省

 

勿論飲食店など食品を扱う業者は地域の保健所等から許可をもらう際に講習等受けていますので知らない方はいないはずですので基本は慎重になりすぎる必要はありません。

 

 

 

 ここで終わってしまうとカビは全てヤバイ!ってなってしまいがちになりますので、

現在世の中の関心が高い「発酵」について考えて見ましょう。

 

カビ毒が出ちゃうならお酒や味噌や醤油やチーズは毒の塊なんじゃない?なんて疑問が出ますね。

 

でも実際は毒はありません

何故でしょう?

カビについては全て研究されているわけではありませんので、大まかにいうと、遺伝子の違いがあるようです。

全てのカビが毒を作るのではなく、毒を産生する遺伝子を持っていないカビも多く存在しているようです。

世界中から注目されている日本酒・味噌・醤油の伝統的な素材を生み出しているカビは元々毒を発生しないようで、日本の在来種といっていい菌株になります。

伝統的な製法の蔵でじっくり製造している会社は、蔵にその菌が住み着いているので、何があってもこの蔵だけを守らなくては!という事をよく聞きます。毒がないのは勿論ですが、その菌独自に行う分解処理が会社毎の味の違いを生み出します。

 

私の実家でお世話になっていた糀屋さんも代替えや建物の維持などの問題でやめていったと思います。全国各地でそのような現象が今あるのは寂しい事です。

 

危険な側面がある一方、

麹菌など日本の風土に根付いた古来からの在来種になります。和食の味を支える「出汁」や「調味料」の柔らかな風合いはこの発酵に支えられているといっても過言ではありません。

 

また、チーズやヨーグルトや魚醤など世界中でその土地の在来品種がその土地の味を作ってきました。

 

今後、世界の気象が変わって行ったとすると、私達とカビとの関係性も微妙な変化を起こすのでしょうか?世界の境目が日々無くなって行く良さと在来品種との関わりの変化がこれから起きてきそうですね。

私達とカビは、歴史やライフスタイルなど色んな関わりが見えてきますね。

 

 

こう見てくるとカビとは非常に面白い存在です。

人間が毒のないカビを見つけたのか?

それともカビがたまたま毒が無かったのか?

もしかするとカビが人類と共生する為に変異して種の保存がされたのか?

答えは出ませんが不思議な関係性です。

次回は、この不思議な関係性から「腐敗」というキーワードで世界を覗いてみたいと思います。

 


今回のテーマ「カビは友となれるか?②」はいかがでしたか?
新しいタネの発見につながっていったらうれしいです。


タネ屋のマル

 

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丸山  泰弘

薬剤師、健康・レストランのコンサルタント

 

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