こんにちは
生活のタネをお届けするタネ屋のマルです
今日も私見たっぷりのタネをお届けします。
カビは私達の友となれるのか?
とシリーズを始めましたが、カビにもたらされるもののなかに発酵と腐敗という違ったプロセスや結果があります。
今回はシリーズからチョット離れて、
発酵や腐敗が意味するものと象徴する世界観
カビについてのシリーズを始めましたが、いきなり寄り道で「カビ」から「発酵と腐敗」という視点で少し抽象的にながめてみたいと思います。
二回前のカビは友となれるか?① 身近なカビを知る - 薬剤師が語る 生活のタネでカビが身近にあるのが感じられたかもしれませんが、そこで共通する概念は「発酵」と「腐敗」というキーワードが出てきます。
今回はこの二つのキーワードからいろんな物をながめてみたいと思います。
陰陽五行的に眺めてみる
陰陽五行といっても伝統的な見方ではなく陰陽五行の考え方のフレームを使ってみてみようと思います。
下記の様な図を見たことがある方もいらっしゃると思います。
陰陽五行には矢印のような関係性があります。
相生:自然に流れていくもの
相克:相手を剋する(木は土に勝つなど)
この考え方は中国の春秋時代に戦いのテクノロジーとして王や軍師が国を守り相手を倒す為の方程式として利用されたもので、
私たちの日常であったり、平和な社会での利用として見たときにはせれぞれの関係性のバランスが変わってくるとと思われます。
脱線しますが、私は医療の中でこの関係性が古代のままだと身体のパワーバランスで終わってしまい、教訓として終了としてしまう感じがしてずっと違和感を抱いて眺めてましたが「だるまん」の漫画を以前読んだ時に非常に腑に落ちた経験があり今回はその世界観をベースに捉えてみたいと思います。

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では本題で、陰陽五行的視点から眺めた「発酵」と「腐敗」ですが、
《腐敗》
腐敗は赤線での「木」→「火」→「土」の流れで、
森で考えるとわかりやすいですが、秋に落ち葉が蓄積し、雪の下でも菌の力で発熱しながら土に還っていきます。さらに「金」分解され、「水」養分になり、また樹々の根から吸収され木々の一部として循環していく円環です。
良し悪しなく循環作用ですね。
《発酵》
発酵は青線の流れになります。味噌・醤油・酒などで想像してみましょう。
「木」(素材)米・麦・豆→「土」どぶろく・味噌・もろみ→「水」日本酒・醤油
ちょっと強引に感じるかもしれませんが、この流れは発酵食品は自然界の収穫物を「火」で人の手と菌の力を注入し環境を整える事で初めて進む反応です。
そして人手で「金」分離させる事で液体のお酒や醤油が取り出せます。
共通するのは人の手です。もっと言うと意図して菌と共に一手間(愛)をかけた上で時間に委ねる姿です。相手を剋するというイメージとより手を添える事で素材と菌の関係性を深める箱に入れておくといった感じではないでしょうか?
私達は、農という自然との共創の世界で、腐敗という力を用いて畑を耕し、作物を育て、収穫します。また 、収穫物を発酵という力を使って文化を紡ぎ出す脳を耕しながら進んできたのではないでしょうか?
大局観と自然思想
私の衝撃を受けたアニメの中に「風の谷のナウシカ」があります。
映画では途中で物語が終わってしまっていますが、本の方はその先まであり、
破壊と創造だあったり、神と被造物、自然の本質とは?と問いかけられるようなシーンや設定が散りばめられています(私の感想ですが)。
その中で今回の発酵と腐敗というキーワードから眺めると「腐海」や「ムシ」というものが出てきて、太古の地球を想像してみたり、人間と自然のパワーバランス逆転状態や、世界がこのまま進んでしまったらこのような将来も考えられるのか?など
地球は存続するのか?といったノアの箱船の物語の様にも想像が膨らみます。
物語の中では、腐海の地下が清浄で外がまさしく「汚染」されている状態です。
ここには答えがあるわけではなく、現在置かれている私達の環境を「腐海」や「ムシ」という存在を通して「腐敗」とはなんだろう?陰陽五行で考えたように、愛を持って自然や人間関係を醸成していくとは何だろうなどと問われているようにも感じます。
この世界観は私が10代のころずっとハマっていたネイティブ・アメリカンの感覚に非常に近い感覚があり個人的には感銘を受けたのかもしれません。

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時空間の境目としての生命観
蟲師というアニメは何年か前に貴方が好きそうなアニメだよ!と勧められて見たのがキッカケでしたが、言われた通りハマってしまいました。
ここには懐かしさと今の私達が交差するような時空間のギャップのようなところがまた 惹きつけられる部分でもあります。
個人的に感じるのは、現実の日常と現実の手前の時空間の狭間のようなところを感じる作品です。
この中では「腐敗」とも「発酵」ともどちらとも取れる異次元を見出せるのではないでしょうか。時空間が常に移動して行きます。
腐海にしても発酵にしても、菌が増殖していく過程は人間の細胞分裂と違い、非常に高速で進んで行きます。なので菌の世界は非常に高速時間で時が流れているとも言えます。
作品の中では、菌の出来る前の状態とでもいうのか総称して蟲(むし)としています。この世にあるようでない。でも在る。といった感じです。
もしかすると、江戸時代ごろなら、菌のことが全く見えなく認知していない人間にはこのように感じていたのかもしれません。そして症状として現れてきたものが妖怪の仕業や何かのタタリだと、見えないものへの恐怖と畏敬の念が混在している状態としてこの様に観ていたのかもしれませんね。
これを見ていると、本居宣長が源氏物語の世界を「物の哀れ(モノノアワレ)」と表現したり、日本特有の「あわい(間)」という境目の間の様な時空間を感じ取る文化が底辺に流れている様にも思われます。
日本の絵画は余白を味わう部分もあるといいますので日本人ならではのモノの捉え方がありそうですね。
ここには腐敗と発酵との境目が溶け合う様な場所で私達から見たら区別が付かない領域なのかもしれません。
あの世とこの世と繋ぐもの
上の項の江戸時代の人々の私達に見えないけどあり不都合な側面にたいしての恐怖や畏敬の念があるのでは?と想像しましたが、これを現代的に当てはめたら「ゲゲゲの鬼太郎」が私達(私の世代?)にはリアリティがありますね。
妖怪で怖いんだけど、人間の腐敗した側面(心や行い)を驚かせて気付かせてくれる存在。
人間の堕落した精神に、自覚させ受け入れた上で、愛のムチを与えて、フツフツと醸成させるが如く昇華させてくれる様にも見えたりします。
最初の陰陽五行で考えると「土」墜落した精神に「金」愛のムチを与えながらも「水」人格の向上をさせてくれる相克の流れを作ってくれていたのかもと思ってみると、ちょっと微笑ましい側面でもあるかもしれませんね。
この世とあの世の境目の住人が人間の魂を成長させるのは、ただ呆然と過ごすだけだと内面が腐敗して行く可能性をひめている事もありそうですね。この辺は中国の古典の易経の中にヒントがありそうなのでまた次回眺めて見ます。
ここまでアニメの世界観を通して日本人が見る象徴的な発酵と腐敗を眺めてみました。
古来から腐敗や腐るなどの表現が人間性の失墜や落ちることとしての意味を持ち
発酵や醸すなどと次元を変え考えをまとめたりすることを意味するなど人間性を表現するものでもありました。
この微生物の働きと人間性、そして時空間へとそれぞれの世界観が国境関係なく交差する物語へとアニメは成熟させてくれます。
それにしても日本人のつくるアニメの世界はすごいな〜と最近つくづく思います。
この見えないけど在るものを私達に見えるように示してくれます。
もちろん科学で証明されて理論的に見えるものもありますが、私達の人格の向上には意外にアニメが支えてくれていたのかもしれないです。
今はこのアニメの影響力が国境なく繋ぎ海外の映画にまで多大な影響力があるようになってきているのが納得です。
次回は中国古典の易経に見る腐敗を寄り道ついでに眺めて見たいと思います。
今回のテーマ「発酵や腐敗が意味するものと象徴する世界観」はいかがでしたか?
新しいタネの発見につながっていったらうれしいです。
タネ屋のマル
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丸山 泰弘
薬剤師、健康・レストランのコンサルタント
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