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カビは友となれるか?① 身近なカビを知る

こんにちは
生活のタネをお届けするタネ屋のマルです

今日も私見たっぷりのタネをお届けします。


カビは友となれるか?①

身近なカビを知る

 

カビというと、非常に都合が悪く出来れば無くなって欲しいなと思う存在になりがちではないでしょうか?

 

しかし、私達の生活に欠かせないものも沢山有りますね。

 

先ずは「お酒

これに活躍するのが「麹(こうじ)」です。

アルコールは糖分が酵素によって変化します。この反応自体は「麹」(カビ)ではなく「酵母」(カビでは無い微生物)が担当しますが、その前の段階でデンプンから糖分に変えてくれるのを担当してくれるのが「麹」(カビ)なんです。

日本のお酒は、米・麦・芋などでワインのぶどうと違いそのままでは甘くないデンプン質からできているものばかりが原材料になります。

このデンプンが糖化するには「麹」のデンプンの長い鎖を切る酵素が必要になるんです。

この酵素は私達のカラダで考えたら消化酵素と同じ働きです。よく噛むとお米が甘みを感じる一つの理由です。カビとは違いますが、水飴はお米や麦の持っている酵素を使ってデンプンを糖に変化させたものです。

 

 

「味噌」「醤油」の発酵

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次は私達の伝統的な調味料です。

私の実家は長野の田舎ですので、自家製味噌を作っていました。信州味噌というのか田舎味噌ですね。この時期(ゴールデンウィーク)は身内が集まって味噌の仕込みをするのですが、前年に自分達で育てたお米を麹屋さん(今ではなかなか見かけなくなりました)にお願いして麹の種付けをしてもらい、自宅の温度が安定している部屋で新聞紙のうえで麹が増えて米が発熱していきます。こうやって出来た米麹を、大鍋で煮た大量の大豆と混ぜ合わせていきます。あとは半年から一年寝かせながら好みの状態で食べて行きます。

また、米麹は全部使わず、甘酒漬物にも使っていくわけです。

特に麹は私の身近な存在です。

今は塩糀を生み出した浅利妙峰さんが世界中に飛び回り有名にして頂いたおかげで、お店でも米麹が手に入りやすくなりましたね。

味噌でも醤油でも大豆を発酵させるのもカビでタンパク分解酵素アミノ酸に分解していき、旨味に切り替えていきます。

このプロセスは鰹節の発酵過程も同じですね。

チーズのカビも同じ原理になります。

 

医薬品「抗生物質

 ドラマや原作漫画で見た方はあると思いますが、「JINN-仁」の中でも青カビから抗生物質ペニシリンの発見の様なシーンがありますが、

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 カビにはバクテリア(細菌)を殺す(抑える)力があってそこから現在では世界中で当たり前のように使っている抗生物質が生まれました。

実際は1928年イギリス医師アレキサンダー・フレミングによって発見されノーベル賞受賞しています。

この性質はカラダの常在菌をみた時に理解しやすいです。

 

 

一方で、チョット都合の悪い側面で見ると

カラダのカビ症状

これからの時期でいうと大人でもニキビが気になりますね。ニキビでも背中の辺りのニキビ、そして脂漏性皮膚炎は皮膚の常在菌である「マラセチア菌」の仕業の事が多いですね。ニキビの治療で何故か水虫の薬が処方されるケースが特に梅雨時期から増えてきます。

でもアクネ菌じゃないの?と思う方が多いでしょうが、最近は何故かマラセチア菌用の処方が多いですね。なぜかは厳密にはわかっていませんが、ペニシリンで少しイメージできるかもしれません。カビとバクテリアは同じ場所にいて似たような反応をしているかの様に見えますが、お互い微妙な攻防をしながら自分達の生活圏を作ってます。このバランスが保たれていると、肌は潤い、他の菌が侵入するのを防いでくれてます。腸内細菌も似た関係ですね。

これが、例えば殺菌・消毒しすぎたりすると、真菌(カビ)が元気になり領域を広げていきます。カビはバクテリアなどと違ってサイズが大きいため細胞内へは積極的に侵入してきませんが、例えばカンジダ(粘膜に出やすい)の様に殺菌すればするほど表面で広がっていきます。最近では、今の時期のように抵抗力が落ちた時やステロイドの連用で局所の免疫力が低下した場所によく出てきます。

一概には言えませんが、喉を綺麗にしようと毎日消毒薬でこまめに消毒うがいをしている方がたまにいますが、これも連用はバランスが崩れますので危険です。

 

皮膚のカビといえば、夏は水虫ですね。汗でタムシが出る人も増えてきます。これは「白癬菌」になります。ブーツが流行ると多くなりますね。

 

生活圏や自然環境

目にする可能性で言えば、家庭の水回りのカビですね。湿気が好きな微生物ですので湿気が溜まりやすい場所はどこもそうですね。

また食べ物でも水分や湿気の関係でパンやお餅が古くなると出るイメージがありますね。

 

一番は土の中がホームグラウンドでしょうね。

ここではむしろ私たちが恩恵を受けているといってもいいでしょう。

農業を想像してもらうといいのですが、野菜やハーブの栽培をしようとすると、植物の栄養として腐葉土が必要になるケースが多いのではないでしょうか?

広葉樹でなくても植物は成長とともに葉を落とし新たに作り出したり、その周りで生活している生物も排泄物や生命のサイクルも発生します。

これを分解処理して土に還るお手伝いをするのがカビになります。

カビが落ち葉などを分解して行く事でミネラルや最小単位の有機物にして大地に返し他の植物の栄養素と変えてくれているのです。

大げさかもしれませんが、自然界はカビが生息しないと循環が不可能なものなんです。カビがほぼいない場所は砂漠ですね。

この辺は時間軸や空間軸を拡大して行くとナウシカを連想していってしまうのは私だけでしょうか?

 

 カビの副産物

カビが知らず知らず体内に入る事はあります。

その時問題になってくるののが、カビ毒です。

カビは比較的高温ではなくても死滅しますが、副産物の毒を作り出す場合があります。日常生活で緊急性はないものの、肝臓で分解したり脂肪分に蓄積して行く傾向があり、性質はまさに毒ですね。

現在は世界中の食べ物が簡単にスーパーで又はネットで手に入る環境です。

私の扱うコーヒー豆などもカビが混ざっているケースがあり、焙煎の前に最新の注意を払って取り除かれています。

タンカーで運ばれてくるものは特にそうですが防腐剤が付いていると買うときの判断にされている方もいますね。

カビ毒はこういった食品などから毎日微量ずつ体内に取り込んでしまっていつのまにか蓄積してしまっています。とはいっても通常の健康診断ではカビ毒の蓄積によるものを判断するのは不可能です。

この辺はこのシリーズの中で改めてご紹介しますが、これから話題になってくる可能性もありますので頭の片隅に入れておいていただくといいかもしれません。

食事や食材を選ぶ判断基準や、カラダのメンテナンスの優先順位が変わる可能性がありますよ。

 

 

 

ここまでいろんな角度から見てきました。

特に日本人はカビの力を自分達と共存するかのように有効利用してきたことがわかりますね。

ライフスタイルが変化すると微生物との関わり方も変わっていきます。

以前の快適さの追求と田舎暮らしへの憧れなど多様化して行く中で、雑学としてでも知識を持ってライフスタイルを構築して行くことが、どのような選択をとっても、変化させてもデザインに役立ちそうですね。

 


今回のテーマ「カビは友となれるか?① 身近なカビを知る」はいかがでしたか?
新しいタネの発見につながっていったらうれしいです。


タネ屋のマル

 

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丸山  泰弘

薬剤師、健康・レストランのコンサルタント

 

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