薬剤師が語る 生活のタネ

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「塩」は海水や岩塩だけではない。 日本ならではの山の塩がある。【塩を巡る旅】

こんにちは

生活のタネをお届けするタネ屋のマルです

今日も私見たっぷりのタネをお届けします。

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先日は久々に「塩を巡る旅」をしてきました。

 

今回のは非常に珍しい「山の塩」になります。

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私の知る範囲では日本で3ヶ所「山の塩」を作っているところがあります。

 では、山の塩とは何か?

 温泉からつくる塩です。

日本にも海外同様に古代海底だった地層があります。

ここで日本の特徴として、火山国ですね。

温泉水として地層に残っているんです。

 海外なら水分が無くなり結晶化し岩塩となる物が殆どです。

ヒマラヤの岩塩などがそうです。

 

なので海外では地下を掘削して石炭を掘る様な感覚で塩を掘っていきますが

日本はマグマで結晶化してませんので、液体の温泉として利用されます。

全てではないかもしれませんが、塩化物泉と言われる泉質は古代の海水又はその成分を含んでいると考えられます。

塩化物泉に入った事がある方はご存知だと思いますがしょっぱいですね。

 

では、塩化物泉ならば塩が出来るのでは?と思いますよね。

私もそう思っていました。

しかし、そうは簡単にいかなくて、温泉成分には入浴には良くても、塩に濃縮して塩として食べるには害になってしまう成分が溶け込んでいるケースが多くて塩化物泉であっても製塩には向かない温泉水も多いとか。

今回見学したエリアは「グリーンタフ」という地層のものではないかと言われています。

グリーンタフ - Wikipedia

 

 

では今回見学させてもらった製塩所です。

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 施設は今まで見てきた海岸の製塩所の中ではかなりしっかり作られていました。

でもよく考えたらそうでないとできないですね。

東北の雪深い山の中ですから。

もちろん冬でも製塩しているそうですので頑丈でないとまずいですね。

 

この地域での製塩は歴史が非常に古く

由来は弘法大師空海によるものだとか

昔、弘仁のころ諸国巡歴の途中、この大塩村を訪れた弘法大師が、とある賤しい家のに一夜の宿を乞うた。出てきた老婆は戸口に立つ旅僧の姿を見て快く招じ入れ、山里暮らしの不如意にも関わらず、手あつくもてなした。

山菜や山魚その他土地の名物など沢山の料理でご馳走したが、いずれも味に物足りないところがあった。

よもやまの話の間、この村では特に塩が乏しくて困っていることがわかった。ご馳走の調理に塩味が足りなかったのだ。

そこで大師は老婆の行為に報い、この里の民生を救ってやろうと護摩を修すること三七日間。やがて霊験現われ錫杖で岩間を二箇所掘ったところ、いずれも塩湯が杖端から湧き上がってきた。大師は一つは翁のため、一つは姥のためにせよと告げて、次の道程に旅立って行った。

その後、翁湯・姥湯と呼ばれて一千年こんこんと湧き続いてきた。松平様の時代には貴重な山塩として御料年八百俵宛を納め製塩業も栄えていた。

それが近年ボーリングの結果、湯は別の所に出るようになり、今は形だけが残って昔を伝えている。

学者の説では、地下数十尺に山塩の結晶があり、温泉がその間を溶流して塩湯が噴出するのだと、また一説には地下数十里にわたって一大潮流あ伏流しているとも伝えられる。

西行法師がたまたま此の地に巡り来て、次の和歌二種を残している。

 

海士もなく浦ならずして陸奥

    山かつのくむ  大塩のさと

浦遠きこの山里に  いつよりか

    絶えず今まで潮やみちのく

 

やはりここも国が塩を管理するようになり製造が出来なくなり、自由化になってから再開したものです。

下は昔の大塩村の様子です。


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近くに温泉神社があり、入り口には温泉が神殿になる湯殿山の石碑も


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他にも空海の形跡を残す場所もあります。


 

では現在の製塩している様子です。

こちらは今まで見てきた平釜製法とほぼ同じですが、違うのは鍋が中華鍋の様に丸くなっていて火の回りが良い方を優先している様子。

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ここでは、廃材を使う事で塩に味が付くのを避けるために間伐材など加工されていない木材を使っています。

やはり国の政策であるバイオマス発電政策により木材が手に入らないのが10年先を見た時に今のスタイルで継続できるかは課題が残りそうです。

先日の国連での環境問題の関連でいえばバイオマス間伐材はCO2としてはカウントされないのですが、エネルギーの効率で指摘が増える可能性は出てきそうなので先をしっかり見ていかないといけない課題ですね。

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上の写真で見える材木で1ヶ月もたないかもという感じでした。

 

山塩の大変なところは「濃度」にあります。

海水は場所によりますが、約3%ほどの塩分が溶けこんでいますが、

塩化物温泉の場合は約1%

海水と比べると1/3の濃度しかありません。

という事は、3倍の量を煮詰めやっと同じ量が出来上がる計算になります。

時間もかなりかかり、ここではある程度煮詰めて冠水を作ってからしばらく寝かせてから最後の塩の結晶化へ持っていくとの事で日数もかなりかかります。

他にも温泉なんで海水に多いマグネシウムの比率が低く、カルシウムカリウムが多いので味わいも苦味よりも酸味に近い要素が多いと言えます。

海水のニガリはとらないでそのまま結晶化になりますね。

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上記のように非常に時間と手間がかかる塩ですので、生産が追いつかないくらいなので、地元の観光に使われるのが優先になり東京への取り寄せはかなり難しいかと思われます。

気になる方は福島の磐梯山周辺へぜひ足を運んで地元の味として山塩の食事を味わって頂きたいです。

私は二件のお店で山塩のラーメンとお蕎麦を頂きました。


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どちらも期待以上に美味しかった!

 

私の知る範囲では3ヶ所の山塩ですが、

たしかに海の塩とは全く違い使い分けるといろいろ楽しめそうですが、、、

これからの発展に期待したいですね。

 

 今回は忙しい中なのに、非常に丁寧にご対応くださったのでありがたかったです。

是非もう一度訪ねたいですね。


今回のテーマ「塩の旅」はいかがでしたか?

新しいタネの発見につながっていったらうれしいです。

 

 


タネ屋のマル

 

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筆者:丸山  泰弘

薬剤師、カラダ・キュレーター

健康・レストランのコンサルタント

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