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エビのしっぽから オーガニックな無機物の旅 その2【自然と生命の循環】リン編

こんにちは
生活のタネをお届けするタネ屋のマルです

今日も私見たっぷりのタネをお届けします。

 

オーガニックな無機物の旅と題して前回は【カルシウム】を通して世界を旅してみました。

 

今回はカルシウムとカラダの中で関係しながらまた違った役割を循環の中で果たしていく無機物(ミネラル)を通して色んな世界を旅してみたいと思います。

旅の主役は【リン(P)

 

リンといってもなかなかイメージがわかないかもしれませんね。

一番イメージしやすいのは昔のマッチの炎が黄リンであると中学ぐらいで実験したかもしれませんね。(現在は使われてません)

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Pは “phosphorus” 由来はギリシャ語の phos=「光」、phorus=「運ぶもの」で「光を運ぶもの」ということですのでマッチのイメージがピッタリかもしれません。

余談ですが、ギリシャ語で“Phosphor”とはギリシャ神話の「フォスフォロス」で暁の明星を表し、大天使ルシファーで明けの明星(金星)の事です。

科学はギリシャ語やラテン語が原典だったりしますので語源を調べてみると当時の人がイメージした世界が垣間見れます。

 

 

先ずは前回同様周期表のリン(P)

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窒素(N)と似た性質がありそうですね。

 

今回の無機質の旅はカラダの中からスタートしたいと思います。

リンを非常に意識して生活している方々がいます。

透析を受けている方々です。

詳細は難しくなってしまいますが、リンは前回の旅の主役だったカルシウムと非常に深い関係で、

お互いにバランスをとる事でカラダを微調整している相棒の様な存在です。

主に骨や歯を形成するときに、カルシウムとリンがくっつくことによって、ハイドロキシアパタイトになり成り立っています。

その仲介がビタミンD

透析の方は腎臓の機能が殆ど働かなくなってしまうのですが、その結果、ビタミンDを機能させられない上にリンを排出できなくなってしまい血液中にリンが沢山になってしまいます。

そうするとバランスをとるために骨を溶かしてカルシウムを血液に戻すことでカラダはバランスを取ろうとします。(面白いですね。優先は骨ではなく血液内のバランスなんです)

そうするとリンとカルシウムは仲良しですので、血液中でくっついていきます。

これが皮膚に行くと異常な痒みが出たり、血管が詰まりやすくなって心筋梗塞などなりやすくなってしまいます。

なので透析患者はリンの摂取を制限されます。

その代表が

私達のカラダに旅してくるリンは大きく分けてこの二つなんです。

カラダの中の旅を眺める前に、出身別にまず食品添加物のリンを見てみましょう。

 

食品添加物には防腐剤・発色剤・面のかんすい・炭酸飲料の酸味料など多様な形で「リン酸塩」が使われます。

代表的なのがハム・ソーセージ・炭酸飲料・ラーメンなどの加工食品になります。

昔から「加工食品や炭酸水を取ると骨が溶けるよ!」って言われたりしましたよね。

これはリンをたくさん取りすぎることで、血液のリンを中和するために骨のカルシウムが溶け出して血液にやってくるという理論からでしょう。(ここではリンの旅なんでその是非はまたいつか)

透析患者さんには痒みがとにかく大きな課題ですので大問題なんです。

是非はともかく私達の利便性を生み出す食材がカラダのリンの一つの出身であるのは間違いなさそうですね。

 

では次にタンパク質です。

主に肉・魚・豆類に含まれるタンパク質にリン酸という形でくっついているものがボリュームとしては多いんです。

 

また、リン酸は酵素補酵素(ビタミンを含む)などの反応にも重要な働きをして欠かせないものですね。

 

何より大事なのは遺伝子のDNAとRNAを構成する時に連鎖はリン酸が繋ぎ目になりますので、リンが無ければ遺伝も肉体の形成も不可能になります。

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もう一つ忘れてはならないものがATPというエネルギーの材料がリン酸になります。簡単に言えばミトコンドリアで作ってるエネルギーはこれのことです。生命のエネルギーは全てこの形にして発揮されるんです。

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細胞膜もリンが無いと形成できません。

f:id:maryuchian:20190524084359p:imageウィキペディアより

白丸部分がリン酸で水に馴染む場所です。

 

グルコースが細胞の中に入りエネルギーへ返還される前にリン酸が細胞外へ漏れない様にへプールさせる働きもリン酸です。

 

こう書くとキリがない程「リン(P)」は生命の存在の中枢から境界線まで、生命の連鎖に無くてはならないものだったんですね〜

 

リンを巡るとカラダ中全て旅する様なものでしたね。

何処にでもありふれてしまい、逆に掴み所がないようにも見えてしまいます。

なので、ここで視点を変えてこのカラダとリンの世界を外の私達の背景まで視野を広げながら見てみませんか?

 

 

自然界やカラダにとっての「リン」のポジションは私達の中国からやってきた「漢字」文化を背景とする儒教中国医学の世界観を覗いてみるとアジア人又は東洋の生命観へ繋がるヒントが見えてきそうです。

 

ここで旅をカラダから漢字の世界へと時空を飛び越えて文化背景を少し見つめる辞書の中を旅してみようと思います。

 

リンは漢字で

漢字源による解字は

舛は左足と右足の開いたところを示す会意文字で、足が開いてよろけること。

粦<リン>は「炎(ひ)+舛(よろける)」の会意文字で、鬼火がよろけつつ燃えること。

燐はさらにそれに火印を加えたもの。鬼火がよろよろと連なってもえる点に着目したことば。

意味:死体の骨から発光して、よろよろと連なりつつ燃える火。鬼火。

点々と連なりもえるリンというイメージになります。

 

漢字の旅ですのでパーツを変えながら眺めてみます。

 

『隣』

となりですね。

解字は、

右側の「」は燐同様、連なって燃える鬼火を表し、

左側は阜(土べい)を添えて、数珠つなぎにつながるの意を含みます。

連なった土べいや住居を表し、連なった家であったり、周りにいる同類仲間を表現されてます。

連なり連鎖のイメージがここで確立しそうです。

私が育った宿場町はまさに道に沿って連なり合う家でしたので「隣」といえます。

因みに土べいが右にあってもほぼ同じ意味を持ちます「鄰(リン)

 

』これももうおわかりでしょうか?

山々が連なった様子を表します。

 

『鱗』

ここまでくるとさすがにイメージしやすくないですか?

今度は、ウロコです。

綺麗に並んで連なってます。

魚のウロコの事ですが、「逆鱗(ゲキリン)」という言葉も有名ですようですよね。

中国では登竜門と言うように魚な鯉が滝を登るとになると言われていましたが、その龍には一枚だけ逆向きのウロコアゴの下にあると言われそれに触れると怒りでその人を殺すという故事です。

怒りの炎を燃やしててしまうという感じでしょうか。

f:id:maryuchian:20190524085239j:imageウィキペディアより鯉のぼり

 

『麟』

麒麟(キリン)の麟ですね。

左側は「鹿」ですから、鹿の模様が連なっているように見える動物という事ですが、

元々は以前ご紹介した伝説の生き物です。胴体が鹿なんです。

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次々と沢山になってしまいますので、私達に少し引き寄せて

『憐』

レン、あわれむです。

解字は、「心+粦」で、心がある対象に引かれて、つらつらと思いが絶えないこと。とあります。 

 

 

漢字の「燐」は鬼火とありますが、下の様に昔は捉えていました。

紀元前の中国では、「人間や動物の血から鬼火が出る」と語られていた。当時の中国でいう「燐」は、ホタルの発光現象や、現在でいうところの摩擦電気も含まれており、後述する元素のリンを指す言葉ではない。

ウィキペディアより

現在で言えばプラズマ発光もこの一つと言えるのかもしれませんね。

 

上記から私達のイメージだと火の玉と言ったところでしょうか。

死んで血から出てくる「鬼火」(とも)と、生きている私達の中にある「」は古くからの考えで言えば『』というもので説明されていました。

は漢字源によると、人の生命のもとになる、もやもやとして、きまった形のないものと表現されてます。

「云(い)う+鬼」で「云」は雲を指してもやもやとした塊(かたまり)という意味合いがあります。

昔は「鬼」とは目に見えない存在の事を指していて、実は特定の存在ではありませんでした。しかし見えない事の怖さから宗教などの影響か次第に恐ろしいものを指すようになり地獄の住人だとか病気の原因とかと江戸時代に入る頃まで言われてきました。

カラダ的には、それでは病気はお祓いや祈祷しか方法がなくなってしまう為、次第に「」という存在として身近に原因を引き寄せて精霊のようなイメージに変化していきます。(それを描いたのが「蟲師」でしょうか?)

 

 

どちらにしても本質を見つめると

カラダで「」が収束されていて生命をかたちづくり、死ぬと外に出てもやもやが発散して散っていく、そのような捉え方が漢字からも見えてきます。

この「あるけどない、ないけどある」そして「もやもやした存在」で、あるからこそ「波(周波数)」でもある。という性質だけを見たら、現在の量子力学そのものですね。シュレーディンガーの猫でしょうか。

 

また、連鎖する生命であり、カラダ中の連なりをつくり、連続する細胞が構成され、隣り合わせで炎の如く燃え、全体として魂のように塊っている。それも燐のなせる技。

 

「燐」を眺めることは、アジアの仏教・儒教道教・ピンズ教など貫く共通の認識を認め、東洋の全体を見渡す世界観を表現できます。

更に西洋の哲学や科学ともリンクさせる事ができる非常面白い存在ですよね。

 

 

アジアでは「」と表現されますが、

これは自然界・大気圏は少なくとも充満していて、植物にも動物にも鉱物にもあります。

やはりDNAという遺伝子とATPというエネルギー生命の基本ですので、野菜や肉から沢山リンが摂取できる通りその生命の中には沢山存在していますね。

ただ、面白い事に金属としてのリンが単独では存在はしていないようです。

 

自然界において、リンは、循環に偏りがあったときに非常に顕著に現象で現れてきます。

一番わかりやすいのがプランクトンの発生量ですね。

リンは、植物の成長に重要なため肥料にも骨粉などリンを積極的に与えます。

肥料の無機リンに対して、農薬有機リン類があります。主に殺虫剤などでしょうが、命を落とす事故も昔は多かったですね。

また私たちが出す排水ももちろん生命からの循環で大量にリンが排出されます。

これらが時間をかけてへなられ出していきます。

自然の許容範囲であれば、プランクトンの生命エネルギーとしての魚介類の餌となるので問題ないのですが、

リンが過剰になるとプランクトンも異常発生してしまい、魚介類は栄養どころか酸素を奪われ窒息してしまいます。「富栄養化」ってやつですね。昔教科書に出てきた気がしますね。

 

タイトルの「エビ」ですがプランクトンをたくさん食べることであの赤いアスタキサンチンが出るのは最近は化粧品が出ていますので少しイメージ湧きますでしょうか?

なのでエビの身や色はプランクトン由来ですね。もちろんリンが沢山。

食べる場合は干しエビが濃縮されるため非常に高濃度になります。

 

ところでエビの生態をご存知ですか?

種類によっても違うのですが、

伊勢えびはプランクトンから成長して行くらしいですよ。あんなに大きいのに最初はプランクトン?て不思議です。

キムチに欠かせないオキアミだと成長してもプランクトンとしての分類になっています。


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ウィキペディアより

本当に自然って不思議なことばかり

 

この様に、生命の循環はリンが育てもし殺しもする存在です。昔にと重なっていたのがなんとなく理解できます。

 

 

さあ、今回の旅は殆ど目に見えない世界の旅になりましたがいかがでしたか?

次元があちらこちらに飛んでしまうと眠くなってしまいますよね、、、

 

次の旅は何にしましょうか、

また旅行先を決めて、旅支度から私自身が楽しんで用意してみたいと思います。

 

前回の旅

エビのしっぽから オーガニックな無機物の旅【自然と生命の循環】カルシウム編 - 薬剤師が語る 生活のタネ


今回のテーマ「リン」はいかがでしたか?
新しいタネの発見につながっていったらうれしいです。


タネ屋のマル

 

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丸山  泰弘

薬剤師、健康・レストランのコンサルタント

 

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