薬剤師が語る 生活のタネ

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八幡神社と稲荷神社から日本人の生き方を感じ取る

こんにちは
生活のタネをお届けするタネ屋のマルです

今日も私見たっぷりのタネをお届けします。

 

 

 宇佐神宮・六郷満山をまわって思ったこと

 

先日の宇佐神宮を始め六郷満山を巡った時に、ふと、

八幡神社と稲荷神社は表裏一体のような関係にあるのでは?

などと漠然とイメージが湧き上がってきたので、巡りながらもそんな事をずっと考えていました。

そこで、改めて八幡神社と稲荷神社の古代からの性質を眺めてみると、今まで気にも止めていなかった共通点のようなものが感じられました。

 

そこで、今回は個人的な直感や想像的な部分が多いのですが、

チョット強引に両者を比較してながら、古代から現代まで私達が引き継いだ記憶の片隅を感じ取って見たいと思います。

 

この記憶は宗教というものを超えて日本人が生きてきた価値観を垣間見れそうです。

 

八幡信仰と稲荷信仰の背景

 

八幡神社と稲荷神社は、日本に住んでいて見たことが無い人はまずいないのでは無いでしょうか?

それはです。

八幡神社は4万以上、稲荷神社は3万以上と言われ、神社仏閣の中でダントツの数です。更に、自宅の敷地内に社を設けているお宅や会社も存在足ますので正確な数は不明ですね。

 

また、見た目で何となく同じ様な感じがしませんか?

どちらも朱色。見た目も鮮やかで記憶に残ります。現在は外国人にも鮮烈な印象を与えていそうです。八坂神社も何処か似たような側面が色からも伺えます。

 

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仏教が入って来る前の状況を見ると、どちらも山岳信仰がベースになっていてが神の化身の様になっていた可能性が高いです。巫女を祀っています。巫女が当時山頂で儀式を行なっていたのでしょう。文化遺産になった沖ノ島も似ていて山頂に儀式跡の当時の様子がまだ残っているのを以前奇跡的に参拝できたのでよく覚えています。ここは宗像三女神です。

宇佐八幡の奥宮にはは福岡のその宗像三女神が山頂に祀られています。

 

仏教が入って来ると宇佐八幡から神仏習合という形式が発生しています。

宇佐神宮最澄が唐へ安全祈願祭とお礼参りをしたことをはじめとしてか六郷満山は天台宗のお寺が次々と出来ています。それには、宇佐神宮の莫大な資金力と中央への力が大きかったことによることも起因しているようです。

 この神仏習合から宇佐神宮八幡神八幡大菩薩という称号がつき武家の発生と共に各地に八幡神社ができる事になります。

最初は、京都の石清水八幡へ勧請されます。この八幡大菩薩源頼朝が源氏の氏神とし、鎌倉に幕府を設立していくのですが、まず鶴岡八幡宮を石清水八幡から勧請しその八幡大菩薩の力で鎌倉という土地を守り、護国を願いました。

弘法大師空海も京都に東寺を建立する際に八幡大菩薩を自ら彫ったとも言われています。

ここから武士にとって八幡大菩薩最高神の様になり、「八幡大菩薩に誓って〜」という言葉まで生まれてます。八幡大菩薩は武士にとっての守り神となったので、戦乱の世でも、八幡大菩薩の旗がある神社などのエリアでは戦わなかったと言われています。武家にとっては土地を守っていくために八幡大菩薩は大事な目印でもあったのですね。また武士にとっては戦勝祈念をします。自らの八幡大菩薩捧げる事で勝利を得ると信じていました。自宅に近くに八幡神社が古くからある場所は武士が大事に守ってきた場所かもしれませんね。

 

 

一方、稲荷神社です。

神仏習合までは、が神の化身で、山の神でもあり田の神でもあり、稲の豊作を主に祈念していたと言われています。

現在でもこの信仰は各地域で残っていて、田植えの頃に山の神が田に降りてきて田の神になる。また収穫した後は山に戻り山の神になる。としていろんなお祭りが残されています。(私ごとですが、稲作をやっていた時は、アーティストさんに作詞作曲してもらい、この山の神と田の神への奉納の様な演芸を重ねてやっていた事がありました。)

江戸時代までは宗教者のみならず一般人も数万人の修験道(行者)をやっていたと聞いた事があります。修験道神仏習合を今でも残していながら山岳信仰によって山の神へ自分の身を投じる事で収穫を祈願していたのでしょうか。

 

また、空海高野山で出会った稲を翁との出逢いから稲荷明神を祀って荼枳尼天とし、あつく信仰したとも言われて、そこから稲荷信仰と荼枳尼天(ダキーニ)と結びつき、遣いであるへ蛇から変換されたとも考えられています。おいなりさんはココから発生しています。

 

現在残っている姿はここから発生して、狛犬が狐になり、保食神や宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)など祀られてます。宇迦之御魂大神の「ウカ」は梵語で白蛇をいう「ウガヤ」であろうと吉野裕子氏は分析しています。

 何処も鳥居が奉納され企業経営者の名前が連なっていて、現世利益として収穫への願いを込めていますね。

 

 

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面白いことに、八幡神も稲荷神も原型は「秦氏」が氏神としていたという説があります。秦氏は大陸(朝鮮半島)から渡ってきた一族とも言われていますので、元々は大陸での祭祀が日本の原始宗教へ返還されたとも考えられます。朱色もその特徴とも考えられますね。この辺は歴史から消されている部分が大きい為、完全に想像の世界になってしまいます。

 

また両方を見比べた時に、私が旅で一番感じたのは、捧げるもの得たいものの関係です。

原始宗教の時点では区別はなかったのかもしれませんが、

八幡神は武士が祀る様になってからは、神に自らの命(イ)を捧げて土地を守る・得るというご利益。

稲荷神は民が神に土地を捧げて実り(稲・イ)を得るというご利益。現在では経済(お金)。

どちらもいわゆる「現世利益」という神社仏閣の中でも得意なご利益で、物質と生命の変換と言えそうです。

殆どの神社仏閣は、「あの世」や「天の世界(神の世界)」とこの世との関係ですが、八幡や稲荷は「この世」での事象にフォーカスされているのが特徴とも言えますね。

 

神の名前の「」とう部分と「」が宇佐神宮と稲荷神社の共通の様な感じがして、

有無の「無→有」と「イノチ」「イノリ」の様なものが背景のあったのでは?なんて想像しています。

 

 

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書きたいことは色々出てきてしまいますが

最期に、上の様な視点も踏まえながら陰陽五行思想で考えて見ると

 

 

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 吉野裕子氏の本によれば

「狐」は中国の最古の辞典「説文解字」という本の中で「狐には三徳あり」と記され、そのなかの一つに「狐は黄色であるがためにめでたい」ということらしいです。
この「」色はの五行の「五気」では「土気」にあたります。「土気」は大地の徳を表し、穀物の神として信仰し、農村に広まったというのです。
その信仰が日本に渡来して五穀豊穣を祈って流布したが、やがて貨幣が広く流通し、商人たちの間でも狐信仰がひろまった。

そこには五行のルールが活用されていたんですね。

狐の「土気」気は相生で「」気が生じます。そのため、「狐は金を生じる」ものとして商人にも信仰の対象になったのです。その結果現代の都市でもビルの屋上に稲荷社を祀るようになったんですね。

また相克を使って「土気」は「土剋水」で「水」に勝つことから、稲作は水を抑えて海上安全を保証し、豊漁をもたらすように海辺でも稲荷社をつくったようです。稲作でも治水や利水や雨の有無が水田のカギになりますので「土剋水」も重要な要素です。
更に稲荷神社の「赤(朱色)」は「」です。「火」の赤は「」を生みます

因みに、なぜお稲荷さんに油揚げを供えるのか?
油揚げの色は「」色です。陰陽五行のルールで「同じ気のものは仲がよい」というルールがあります。そのためにお稲荷さんに油揚げをお供えするのです。(実際の狐は油揚げは好きではありませんが)

 

一方で八幡神社も同じように「赤(朱色)」ですが、赤を掲げて「土地」を得る・守り、「」の力で火生土となり「黄(土地)」を生み出していったのですね。

更に、火剋金で敵の「金(武力・権力)」を抑えて勝利と「土地」を得ると願ったのでしょうか?また「」は中央でもあります「赤(南)」から中央を強化する意味合いもあったのでしょうか?

 

陰陽五行思想でも八幡神社と稲荷神社の関連が垣間見られますね。

 

 

明治に廃仏棄釈が行われた為、八幡大菩薩荼枳尼天の姿は一掃されていった様ですが、現在にもその頃の面影は残っています。

 

家の近くや、出先で八幡神社や稲荷神社を見かけた時にその土地と暮らしていた人々の想いも垣間見れる可能性もあります。

これを機にそんな楽しみを見つけてもらえると嬉しいですね。

 

 

また、私たちの今後のライフスタイルという視点で見た時に、

お金を持つことが平和をつくるのか?

土地を所有することが平和な社会を実現するのか?

という課題の反面、

お金や土地を持たないことも身動きが出来ない社会であることの狭間から

新たな価値観での私達の収穫すべきものは何かと考えている人達が多くなってきているように感じています。

時には過去に通ってきた道を見直しながら私達のライフスタイルにも新たな創造性を発揮したいですね。

 

 


今回のテーマ「八幡神社と稲荷神社」はいかがでしたか?
新しいタネの発見につながっていったらうれしいです。


タネ屋のマル

 

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丸山  泰弘

薬剤師、健康・レストランのコンサルタント

 

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